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 昭和30年夏、私は尾瀬の豊かな自然に恵まれ、林業の盛んな檜枝岐村で、600年の長い歳月にわたって、山人の弁当の器として用いられてきた「曲げわっぱ」に初めて出逢いました。平家落人の伝説が残り、今なお農民歌舞伎が脈々と引き継がれている檜枝岐の厳しい自然の中で、その力強さと春の尾瀬の優しさを感じさせる「曲げわっぱ」。
 私はこの時から、この器を用い、会津の食材を生かした料理を盛り込んだ「輪箱飯」を創製したいと思い立ちました。そして、鄙なる檜枝岐にあやかり、屋号を「かの地は山ばかりなり、田んぼも野も希れなるところ=田希野」と名付け、昭45年(1970年)3月に開店いたしました。
 現在の屋号「田季野」は秘境檜枝岐の玄関口という意味と会津の豊かな季節をイメージしておりますが、元祖輪箱飯の原点は、あくまでも奥会津檜枝岐の「曲げわっぱ」にあります。

店主敬白

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